プロローグ
もう何年も前になりますが、
「優しい時間」というドラマがテレビ放送されていました。
長澤まさみさんがまだ新人女優で
ヒロイン役として出演していた
富良野が舞台のドラマでした。
先月、富良野の時間の締めくくりとして温泉に行ったのです。
今も体力の回復が追いつかなままの母も留守番役を快く引き受けてくれたので、父とふたり。
待ち合わせの時間を1時間半後と取り決め あちらとこちらの暖簾をそれぞれにくぐります。 私の今回のメインはサウナでした。 人の少ない朝の時間を選んで行ったので 浴室にいるのも数えられるほどの人数です。
サウナルームに入れば私ひとり。
砂時計を逆さに回して 熱すぎない良き位置に腰を下ろした時、 ラジオから流れてきたのが 平原綾香さんの「明日」 それは、ドラマ 優しい時間の主題歌でした。 4畳ほどの狭さのサウナルームにひとり座る私の胸を 感動が突き上げます。
ピタリと時空が交わった気配に導かれ 歌詞が耳から心へと運ばれてきます。 私の五感は覚醒し 体中の細胞が身震いをおこします。 溢れる涙はそのままに
脳内を走馬灯のように駆け足で通り過ぎてゆく
これまでの人生というレッスンの全てを
胸の奥深く、静かに味わい感謝しました。
過去、現在、未来。
時空が交わる時、
そこには必ず神の気配なるものがあり
その神聖さの中では
全てが今に宿されているのだと気付かされます。
過去の全てが本当に終わる時を迎えたこと。
これからの全てが真っ更な白紙に戻ったこと。
全てが今ここで同時に起こっていることを確かに知らされ、
時空の交差点に佇む私は
恐れを選び続けることで
別の誰かの人生を生きてきた
過去のわたしへ
卒業証書が手渡されたことを見届けています。
優しい時間が周囲のそれと共に拡がっていく未来が わたしの胸の中に育ち膨らむのを見届けています。
オランダの日常に無事戻った今の私の心には
「優しい時間」へのコミットが根を張り芽吹き始めています。
2022,11,15 ニュースレター配信 2023,6,7 編集
明日 (ドラマ『優しい時間』主題歌)
歌:平原綾香 作詞:松井五郎 作曲:Andre Gagnon 編曲:小林信吾
ずっとそばにいると あんなに言ったのに
今はひとり見てる夜空 はかない約束
きっとこの街なら どこかですれちがう
そんなときは笑いながら 逢えたらいいのに
もう泣かない もう負けない
想い出を超えられる 明日があるから
そっと閉じた本に 続きがあるなら
まだなんにも書かれてない ページがあるだけ
もう泣かない もう逃げない
なつかしい夢だって 終わりじゃないもの
あの星屑 あの輝き
手を伸ばしていま 心にしまおう
明日は新しい わたしがはじまる
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